融資や補助金の申請、あるいは金融機関との交渉において、「事業計画書」の必要性は確実に増しています。しかし、現場では「何を書けば伝わるのかわからない」「数字の根拠を説明できない」という悩みが絶えません。審査基準を満たす実力があっても、肝心の計画書が金融機関の関心を引く内容になっていなければ、スムーズな融資にはつながらないのです。

現在、金融業界はこれまでの不動産担保や経営者個人による連帯保証に頼る融資姿勢から、事業そのものの収益性や将来性を評価する「事業性評価融資」へと舵を切っています。このような転換期において求められるのは、単なる主観的な熱意や将来の願望ではなく、金融機関の審査担当者が納得する「数字の裏付け」と「実行の筋道」が揃った客観的な計画書です。

本書は、旧三井銀行(現・三井住友銀行)で32年間勤務し、1万社以上の企業支援実績と2か所の支店長を歴任した資金調達のプロフェッショナル・川居宗則氏による実践バイブルです。元銀行支店長の視点から「金融機関が読みたい・判断しやすい計画書」の設計ロジックを解き明かすとともに、最新の生成AIを「丸投げ」ではなく「思考の相棒」として活用するヒントが、90分でつかめる構成に凝縮されています。

【目次】

  • はじめに
  • 第1章 事業計画書作成の準備と心構え
  • 第2章 金融機関が注目する事業計画書の基本構成
  • 第3章 金融機関にYESといわせるテクニック
  • 第4章 ケーススタディで学ぶ事業計画
  • 第5章 提出後のフォローアップとつきあい方

本書から学べる3つの核心

  • 1事業性評価の視点に適合した「伝わる型」の習得

    融資審査の主眼が「事業性評価」へと移る中、金融機関の担当者が容易に意思決定できる構成を理解することが不可欠です。元銀行支店長の実務経験に基づき、審査担当者が稟議を通しやすい評価ポイントを押さえることで、金融機関が瞬時に「判断しやすい」論理構成を短時間で構築できるようになります。

  • 2想いを現実に変える「数値の裏付け」と「実行シナリオ」の統合

    事業計画書は単に企業の強みや将来ビジョンだけをアピールする資料ではありません。客観的なデータに裏付けられた明確な「数値」と、それを確実に履行するための具体的な「実行の筋道」を矛盾なく一体化させることで、実現可能性の極めて高い、YESを引き出す事業計画書へ昇華させます。

  • 3生成AIを「思考の相棒」として使いこなすタイパ最大化術

    時間的資源が限られた経営者にとって、計画書のドラフト作成は大きな負担です。本書では生成AIに作成を丸投げするのではなく、経営者の暗黙知を言語化するための「協働型パートナー」としてAIと対話するヒントを解説。たたき台づくり、情報の整理、表現の改善を驚異のスピードで処理し、圧倒的なタイパを実現します。

現場で活かせる3つの考え方

  • 1担当者が「YESと言いやすい」構成を先回りして用意する

    審査担当者が計画書を見てから疑問に思う点(客観的根拠、不確実性への対応など)を、あらかじめ計画書の構成の中で説明しきることが重要です。担当者が稟議書をまとめやすい情報パッケージを提示することで、余計な質問対応を減らし、融資実行までのプロセスを劇的にスピードアップできます。

  • 2AIとの壁打ちを通じて「独自の強み(USP)」を研ぎ澄ます

    どこにでもあるような汎用的なビジネスプランでは金融機関の関心を引けません。生成AIに自社のコア資源をインプットし、「客観的な弱点を指摘させるSWOT分析を行う」「異なるターゲット層への切り口を模索する」ことで、他社に真似できない自社独自の強み(USP)をシャープに言語化できます。

  • 3豊富なケーススタディやひな形を自社モデルに適用する

    ゼロから文章を起こす必要はありません。本書に掲載されている、様々な事業モデルや調達シーンを想定した「ひな形」や「ケーススタディ」を活用します。自社の事業構成に近い作成例を参考にデータを流し込むだけで、融資プロトコルに完全準拠した精度の高い事業計画書を短時間で作成できます。

信頼を築く3つの姿勢

  • 1調達完了「後」の自発的報告で強固な信頼関係を築く

    融資を受け取った瞬間は関係の終わりではなく、信頼構築のスタートラインです。提出した計画書通りに事業が進んでいるかを能動的にフォローアップ・報告し続けることで、金融機関との絆が深まり、将来の追加調達や万が一の事態における迅速な支援を引き寄せる要因となります。

  • 2「経営者保証の解除」をマイルストーンとして財務を磨く

    過度な個人保証から脱却し、次世代へ個人リスクを遺さない事業承継を行うことは、現代の中小企業経営における極めて大きなテーマです。計画に基づいて「法人と個人の資金管理の分離」と「収益性の確立」を実践し続けることで、対等な立場で経営者保証の解除を金融機関へ交渉する強固な財務体質を作り出せます。

  • 3計画書を自社の未来を指し示す「生きた羅針盤」にする

    計画書は外部(銀行、補助金事務局)へ提出するためだけの「お飾り」ではありません。作成した計画書を日常的な経営判断と照らし合わせ、市場変化に合わせて定期的にアップデートする習慣を持つことで、外的変動に左右されずに自律的な意思決定を前に進める経営の舵取りが実現します。