歴史を振り返ると、パンデミック(感染症の世界的大流行)は大きく2つの教訓をもたらしてきました。第1は、パンデミック後は従前とは大きく異なる社会が訪れること、第2は混乱の中でその社会が持つ弱点が露呈される、という点です。

コロナ禍による混乱で、この2つの教訓から日本が考えるべき最大の課題は、世界が凄まじいデジタル資本主義の競争に向かうこと、そして日本が立ち遅れているデジタルシフトを急いで進めねばなりません。

幸いにして、日本でも在宅勤務、遠隔教育、遠隔診療など、デジタルな手段を駆使した新しい社会生活様式が定着する気配が見えています。この勢いを加速させ、ポストコロナ時代に向けた体制移行(トランジション)を急進的に進めるべく、具体的な提言を示したのが本書です。

特にまとめの第6章では、「ポストコロナ構想会議」の設置と、そこで議論すべき6つの重要な政策項目を提案しています。

デジタル資本主義において重要性を増す無形資産の問題、デジタル時代のインフラとしてのマイナンバー制度の思い切った拡充、さらには究極のセイフティーネットとしてのベイシック・インカム、などです。

ポストコロナの時代、日本は、真に豊かな社会を目指すための大きなチャンスを迎えています。本書は、そのヒントをもたらす書籍です。

目次
第1章 四つの論点と四つの矛盾
第2章 パンデミックで歴史は変わった
第3章 経済政策はもっと打つ手がある
第4章 デジタル資本主義を加速せよ
第5章 ポストコロナ・四つの改革プラン
第6章 「ポストコロナ構想会議」の六つのテーマ