レビューがわかれば、観劇がもっと楽しくなる!
宝塚研究で博士号を取得した著者による、宝塚をよりディープに知るための案内書。

《ベルサイユのばら》《エリザベート》から《ルパン三世》まで、歴代の名作も数多く登場!
100年以上の歴史を持ち、兵庫県の宝塚市と東京の日比谷に専用劇場を所有する宝塚歌劇。
本書では、その目玉のひとつである「レビュー」をキーワードに、宝塚歌劇を様々な角度から深く掘り下げ、その魅力の真髄に迫っていきます。
劇団の歴史や美学、演出の特徴などを知ることで、観劇のきっかけとなり、また観る前の予習としても使える1冊。
巻末には「宝塚名作紹介」として、歴代の傑作をじっくり取り上げています。

【レビューとは?】
宝塚を観劇したことがない人でも、レビューの概念を知らない人でも、「タカラヅカ」と聞けば、男役の存在の他に、大きな羽根を背負っているスターの姿やラインダンス、電飾が光る大階段などを思い浮かべるのではないだろうか。それらは全てレビューと呼ばれる歌と踊りをメインにした演目のワンシーンである(本文より)。

カバーイラスト:Sakizo

【目次】
1 「夢の世界 タカラヅカ」の誕生
・夢の世界への招待
「ムラ」の魅力/「フェアリー」と呼ばれるタカラジェンヌ

・宝塚少女歌劇の結成
小林一三による阪急電鉄事業/プールを劇場に/「観客ファースト」の舞台作り

・レビュー時代の到来
大劇場に適した演目を求めて/日本初のレビュー《モン・パリ》/レビューの行き詰まり/レビューの王様・白井鐵造/レビュー革命の始まり/宝塚独自の演出/陶酔できるレビュー

・宝塚歌劇らしさをめぐって
少女歌劇の限界/乙女の園における男性加入問題/「宝塚的レビュー」が生まれるまで/スターの育成

2 「演劇」としての宝塚歌劇
・西のムラ、東の東宝
東西の劇場における雰囲気の違い/宝塚の東京進出/東京宝塚劇場の役割

・国民劇とは何か
宝塚歌劇の根底にあるもの/新作主義と独自の演出

・潤色ミュージカルと宝塚
小池修一郎によるミュージカル《エリザベート −愛と死の輪舞−》/トートとエリザベートのラブストーリーへ/宝塚版のために書き下ろされた〈愛と死の輪舞〉/ウィーン版のエンディング/日本人が好むエンディングへ

・《ロミオとジュリエット》の愛と死
小池修一郎によるミュージカル《ロミオとジュリエット》/死後の結びつきを描いた宝塚版/日本人の情念に訴えかける演出

3 《ベルサイユのばら》の衝撃
・《ベルサイユのばら》舞台化への道
「古典」になった《ベルばら》/池田理代子による『ベルサイユのばら』/宝塚歌劇の再起を賭けて

・宝塚版《ベルばら》の演出技法
《ベルばら》独自の様式美/様々な宝塚版《ベルばら》/宝塚版のアントワネット/プロローグとフィナーレ/国民劇を体現した作品

・《ベルばら》から派生する世界
《ベルばら》と《ルパン三世》/ルパンが惚れたアントワネット/《ベルばら》と《1789 −バスティーユの恋人たち−》/運命に立ち向かうヒロイン

・作品に込められたメッセージ
戦争体験が反映された作品/平和への願い

4 レビューとタカラジェンヌ
・宝塚とレビューの関係
TAKARAZUKA REVUE/レビューの系譜/偉大なるマンネリズム

・レビューと演出
レビューの見所/ラインダンス(ロケット)/デュエットダンス/パレード

・タカラジェンヌの輝き
虚構の美しさ/「男役10年」ということ/男役の美学/娘役の美しさ/ヒロインたちの存在感

・トップスター、そして退団
トップスターという存在/リミットがあるからこそ美しい