◎社員1人当たり経常利益1億5000万円を稼ぐ松井証券の経営の秘訣を、社長自身が初めて著わす
万年ブービーだった松井証券を、リテール分野では野村証券を追い抜くまでに生まれ変わらせたことで知られる松井社長。その原動力となったのは、ネットトレードへの特化などの経営施策とともに、社員を活性化させる独特の人材マネジメントであった。
同社は社員150名で226億円の経常利益を稼ぎ出す、超高効率、高収益企業として知られる。本書は、松井社長が初めて、その少数精鋭経営の背景にある、人材マネジメントに対する独特の考え方、仕組みを明かすものである。

◎人事評価は「好き嫌い」で行なうのがいちばんいい
松井証券の人事制度は、ボーナスや退職金もない、完全年俸制。そして、その年俸を決める基準は、成果主義でも能力主義でもない「実力主義」である。輪切りにした評価項目を積み重ねるのではなく、トータルな人間としての評価をタテとヨコからつけるというものだ。
その評価の基準は結局「好き嫌い」であり、人間同士が集う会社という器においては、それこそが真実を語ると松井社長はいう。その他にも、「採用は縁故に限る」「頑張って働いてはいけない」など、同社の人材マネジメントにはユニークで興味深い考え方があふれている。

◎本書で初めて明かす、証券業界への新たな宣戦布告も!
一方、そうした精鋭社員を率いて取り組む次なるターゲットにも言及。松井社長はこれまでにも「株式保護預かり手数料の無料化」で証券業界を震撼させたが、本書においては証券業界に残された一大タブーを打ち破るための布石を打ちつつあることを断言している。
成果主義への懐疑など、日本型から脱皮したはずの経営のあり方に、さらに転換点が差し掛かっている昨今、松井社長の発想法と取り組みは大いに示唆に富む。業界やポジションを超えた多くのビジネスパースンに、ぜひとも手に取ってもらいたい一冊である。

第1章 組織論 「この時代」に対応できるしくみ
第2章 人材論 「この時代」に対応できる資質
第3章 採用・教育論 「商人」として働くことの意味
第4章 評価論 人間評価の主観と客観
第5章 分配論 「給料をもらって働く」から「働いて給料をもらう」
第6章 リーダー論 社長と副社長の距離>副社長と新入社員の距離